いのちの始原を求めて ―近代日本の作家たちと宗教性
著者 |
川島秀一 |
本体価格 |
5,000円+税 |
ページ数/判型 |
304/ A5判上製 |
ISBN/分類コード |
978-4-907282-92-9 C3095 |
発行日 |
2023年10月6日 |
本の紹介 |
作家たるもの、なぜ書くのか
いのちの始原を求めて遠く旅する作家たち…
開かれた宗教性としてあらわれる魂の渇望。
宮沢賢治、山本周五郎、遠藤周作、太宰治など、
言葉を呼びさまし続ける作家たちの軌跡を読み解く。
◇主な内容◇
第1部 宮沢賢治童話「どんぐりと山猫」「注文の多い料理店」「鹿踊りのはじまり」「ポラーノの広場」「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」を取り上げ、賢治が自然と呼ぶものの中に〈いのちの始原〉を幻視する言葉を紡ぎ続けたことを、祈りの風景として読み解く。
第2部 山本周五郎『赤ひげ診療譚』『五瓣の椿』『さぶ』「柳橋物語」「むかしも今も」「彦左衛門外記」「花筵」「火の杯」を、周五郎とキリスト教のかかわりにおいて人間の罪の実態と信仰の問題を中心に、人生の意味や人間愛を問いかける。
第3部 遠藤周作『沈黙』『侍』を「信じること」をテーマに文学と神学の問題意識から考察、また遠藤と白鳥を山本健吉と小林秀雄の文章から相対化して白鳥の水脈をたどる。太宰治「富嶽百景」では、表現された自然を自分と対峙させることで作家的表現を確立させたことを論じる。中野重治は「歌の別れ」をもとに短歌との出会いがその作家的出発の中野に与えた影響を考える。 |
目次内容 |
第一部 賢治童話と自然
〈意味〉に憑かれた人間の物語―「どんぐりと山猫」からの出発
越境する身体―「注文の多い料理店」
〈鹿踊りのはじまり〉という物語―〈歩きつづける男〉の話
幻視される物語―「ポラーノの広場」
帰ってきた少年―「銀河鉄道の夜」
遠くからきた少年―「風の又三郎」
第二部 山本周五郎の文学とキリスト教
〈人間〉への問いの根源性―『赤ひげ診療譚』
罪は赦されないのか―『五瓣の椿』
呼びかける声―『さぶ』をめぐって
*
周五郎の人間愛―「柳橋物語」「むかしも今も」/「彦左衛門外記」「花筵」/「火の杯」
第三部 信じるということ
『沈黙』から『侍』へ―「文学」と「神学」の狭間で
遠藤周作と正宗白鳥―山本健吉・小林秀雄との関係をめぐって
拒まれし〈私〉の物語―「富嶽百景」と『富士山の自然界』
自意識の皮膜―「富士に就いて」の〈私〉
*
〈歌〉のわかれ―中野重治と短歌
余録 「白鳥とキリスト教ほか一題」に就い
あとがき
初出一覧
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