川端康成 —文学の構造と〈美〉の生成—
著者 | 山中正樹 |
---|---|
本体価格 | 5,500円+税 |
ページ数/判型 | 422/ A5判上製 |
ISBN/分類コード | 978-4-907282-91-2 C3095 |
発行日 | 2023年3月16日 |
本の紹介 | 川端文学の〈美〉とは何か 川端文学の構造とそこから生み出される〈美〉の様態を、〈孤児〉体験、戦争(敗戦)などが川端にもたらした影響と〈時空間〉の構造、古典文学とのかかわり、〈新感覚派〉や〈心霊学〉などから得た川端の〈言語観〉といった多角的な側面から考察する。 |
目次内容 |
序論 川端康成の文学―その基礎的考察― 一 川端康成の五十年―〈死〉に彩られた生涯― 二 敗戦と川端康成 三 川端康成と古典文学 四 「葬式の名人」/「弔辞の名人」 第一部 川端文学における時空間の位相 第一章 川端文学の構造―時空間の分析を視座として― 一 戦前の作品世界における〈空間〉 二 戦後の作品世界における〈空間〉 三 二つの〈時間〉 四 川端文学における〈時間〉 第二章 「伊豆の踊子」における〈時間〉と〈語り〉 一 「伊豆の踊子」の評価 二 〈私〉の時間意識 三 「伊豆の踊子」の時間構造 四 「孤児根性」からの脱却 五 「〈私〉の救済の物語」の実像 第三章 「反橋」連作論―冒瀆と憧憬の物語― 一 〈魔界〉論の終焉 二 〈魔界〉の源流 三 「反橋」連作における〈時間〉 四 「汚辱と悪逆と傷枯の生涯」―行平の存在基盤― 五 〈救済〉の断念―「隅田川」の世界― 第四章 「千羽鶴」論―「美」と「醜」との相克― 一 「千羽鶴」への誤解 二 「千羽鶴」が描き出すもの―繰り返される「あざ」の記憶― 三 「二人の女」の内的時間 四 「美」と「醜」との相克 第五章 「たまゆら」論―〈語り〉と〈時間〉意識をめぐって― 一 「たまゆら」の論点 二 〈語り手〉の意図/語る〈私〉の意識 三 治子の〈「たまゆら」〉/幻の〈「たまゆら」〉 四 「たまゆら」の〈語り〉と〈私〉の意識 五 「たまゆら」における時間意識と〈過去〉 第六章 「水月」論―〈鏡〉が作りだす空間― 一 川端文学における〈鏡〉 二 〈鏡〉の中の世界 三 「鏡像段階」による「水月」理解 四 「京子」の妊娠 五 「水月」における〈呪縛〉と〈解放〉 第七章 「みづうみ」論(一)―「みづうみ」における〈時間〉と〈空間〉― 一 〈追跡者〉銀平 二 銀平の「みにくい足」 三 銀平の美女追跡 四 銀平の変容 第八章 「みづうみ」論(二)―〈輪廻転生〉による解釈― 一 「みづうみ」の主題 二 銀平の「かなしみ」 三 銀平の救済 第九章 「眠れる美女」における〈密室〉の機能 一 従来の評価 二 「「眠れる美女」の家」の仕掛け 三 江口の人生 四 「眠れる美女」における時空間 五 江口の救済 六 〈密室〉の機能 第二部 川端文学の基層 第一章 「十五年戦争」と作家「川端康成」 ―昭和十年代の「作品」を中心に― 一 戦争に対する川端の姿勢 二 作家「川端康成」と「十五年戦争」 三 戦時下の「川端康成」 四 「川端康成」の〈反戦〉 五 戦争への〈加担〉 六 川端康成の〈転向〉 第二章 「再会」論―削除された「過去」/「過去」との〈再会〉― 一 川端文学における「再会」の重要性 二 「再会」における「過去」削除の意味 三 祐三が〈再会〉したもの 四 「再会」が〈再会〉したもの 第三章 川端康成と古典文学の関係について(一) ―敗戦と「源氏物語」― 一 川端康成と古典文学との関係―評家の発言から― 二 川端康成の古典への親炙 三 戦争によって知ったこと 四 川端康成の〈古典回帰宣言〉をめぐって 五 川端作品と「源氏物語」―「千羽鶴」を例として― 第四章 川端康成と古典文学の関係について(二) ―古典文学受容からみた「たまゆら」― 一 川端康成の古典文学受容―評家の発言から― 二 「たまゆら」にあらわれた古典文学の意味 三 短編「たまゆら」にみる古典受容とその表出 四 長編「たまゆら」にみる古典受容とその表出 第五章 「片腕」論―〈自己〉拒絶の物語― 一 川端文学における「片腕」の意義 二 〈私〉の孤独 三 〈片腕〉という心象 四 〈処女の純潔〉による救済 五 「片腕」における〈処女懐胎〉のモチーフ 六 片腕との交合―〈私〉の胎内回帰― 七 「魔の発作の殺人」―〈私〉の救済の失敗― 第三部 川端康成の言語観 第一章 「文藝時代」の川端康成 一 「文藝時代」の歴史的評価 二 「宗教時代より文芸時代へ」―「文藝時代」/〈新感覚派〉の思潮― 三 「新感覚派」の文芸世界/創作手法 第二章 〈表現主義的認識論〉 一 〈新感覚派〉文芸理論への評価 二 〈表現主義的認識論〉/川端康成の〈新感覚派〉文芸理論 三 「文藝時代」の終焉/〈新感覚派〉文学運動の消長 第三章 言語の到達(表現)不可能性について ―「末期の眼」および芥川龍之介の言語観にふれながら― 一 川端康成の〈リアリズム〉批判 二 芥川龍之介における言語の到達(表現)不可能性 三 川端康成における言語の到達(表現)不可能性 四 三島由紀夫と川端康成 第四章 川端康成の文章の特徴―「たんぽぽ」を中心に― 第五章 初期川端文学における象徴表現について ―初期作品における〈月〉の表象の機能を中心に― 第六章 川端康成と〈心霊学〉―「白い満月」の主題を中心に― 一 作品について 二 「白い満月」研究史から 三 「白い満月」における〈月〉の表象 四 作品末尾の意味―作品の主題とのかかわりから― 結 論 参考文献 初出一覧 あとがき 索 引 |
Copyright(C)鼎書房All rights reserved.